2012年8月19日日曜日

日韓通貨スワップ協定

前々回のエントリにちょこっと書いた日韓通貨スワップ協定。
なんと、この協定の破棄に関してネトウヨさん達の手を離れて、かつて政権与党であった自民党が協定を見直せと声明を出したみたいですね。安住財務大臣や藤村官房長官の内閣からも見直しが飛び出しました。

さて、この日韓通貨スワップ協定とは何なんでしょうか?
スワップ協定とは、簡単に言うと通貨危機で困ったらお互いに外貨を融通しあいましょうという約束です。三つの枠組みがあります。
一つ目は、両国政府が相手国の中央銀行にドル支援を行う枠組みです。支援枠は300億ドルです。昨年、韓国の要請により新たに出来たものです。ただし、今年の10月が期限ですので、延長しなければなくなります。
二つ目は日本銀行と韓国銀行間での取極です。支援枠は、昨年一つ目と同時に300億ドル相当の円に引き上げられました。ただし、この10月で一時的な増額が期限を迎えて、延長がなければ30億ドル相当に戻ります。
三つ目は、チェンマイイニシアティブに基づいた支援です。これは、アジア通貨危機を教訓に多国間で合意した事項に基づいた支援協定です。日本側の支援枠は100億ドルです。韓国は50億ドルです。

制裁の目的は、自国への影響が最小限な方法で相手側を困らせて交渉のテーブルにつくように仕向けることです。この協定の見直しが、韓国を困らせるのかどうか?日本に影響がないのか?これが問題となります。
まず、韓国への影響を見てみましょう。この協定がなくなれば、韓国がすぐにどうこうなるわけではありません。ただ、ユーロの問題などの影響で韓国ウォンが暴落する可能性はあるので不安にはなるでしょう。中国との通貨スワップも再延長を要請ているようですが、日本との協定が減るようなら中国にさらなる増額を、若しくは他国との協定を考えるでしょう。日本との協定が減額されても、中国や他国と協定が出来てドルの確保ができれば、それほど困ることはないのではないでしょうか?

で、日本は困ることがないのか?確かに日本がこの協定の直接的利益、すなわち日本円が暴落して支援を受ける可能性はかなり低いです。しかし、日本がこの協定を結んだ最大の利益は、東アジアの通過安定を担うのは日本である事を国際社会にアピールすることです。韓国の要請とはいえ、韓国一国を助けるためではないはずです(多分…いくら民主党でも…と付け足さなければならないのが悲しいですが…)。貿易依存度が高く国際経済の振れに敏感でリスク資産と捉えられている韓国ウォンは、通貨危機にさらされる可能性が高いです。そして、韓国の通貨危機が東アジア全体の経済を脅かすのは明らかです。また、安全通貨として人気のある円にとっても、世界で何かが起これば暴騰するということも忘れてはなりません。一般的に大災害が起こればその国の経済に打撃があるとして通貨は下落します。しかし、日本では東日本大震災でも安全通貨と見られている円は上がりました。

景気低迷が続く日本でも、まだまだアジア圏で積極的金融支援を行う余力があります。その中で、東アジアの通貨安定に責任を持つということを放棄するのは如何なものでしょうか?韓国の非常任理事国への立候補を支持しないのは、平和的解決の手段である国際司法裁判所への共同での付託を拒否していることから反対の立場を取ることは国際社会の理解を得やすいでしょう。しかし、通貨スワップ協定を見直すことは、東アジアの通貨危機に対して日本は責任も義務も果たさないとの誤ったメッセージを国際社会に送ることにはならないでしょうか?また、日本が責任を果たさなければ、国際的な地位までも中国に譲り渡すことにもなりかねないのでは…と考えてます。国際社会で責任や義務を果たしているからこそ、国際社会で信頼を得て支持してもらえると考えています。そろそろ、戦後、国際的に多額な援助をしてきた日本を売り込んでも良いと思いますが。

感情的、反射的な言動や行動は抑え、くれぐれも慎重かつ論理的な行動を取ってもらうことを願いたいものです。
ただし、政府が鎮静化を狙って、日本の主張そのものを抑えるのはやめて下さいね…

4 件のコメント:

  1. ロイドです。
    日本って、韓国のいいクレジットカードですよね。

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    1. 日本は、韓国のためだけのクレジットカードではなく、アジア全体のためのクレジットカードです。
      ロイド、ありがとうございました。

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  2. dayusayoです。
    今世間を賑わせているようなことがおこるたび、日本では「感情的な行動は抑え、慎重に!」という論調がおこります。
    毎回ですよね。
    それでなにかかわったと私は思いません。むしろズに乗らせているだけでしょう。
    東アジアの経済安定は大事ですよね。そこに異論はありません。
    が、日本一国がその国益を損なう必要はもうないでしょう。今まで十分損なってきたんですから。
    今回の件では、韓国には強攻するべきです。ただし、その為には広く東アジアに根回しをするべきでしょうね。ここからは外交力です。
    ・・・あっ、それがないのかハハ。。

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  3. dayusayoさん、コメントありがとうございます。
    通貨スワップ協定の見直しは、韓国を議論の場に引き出す事もできず、かつ日本の国益を損なう可能性がある事を指摘しました。主張を抑える事で、今まで十分国益を損なってきたことは同意します。行動はするべきです。
    しかし、感情的に意味のない行動や逆に日本の国益を損ねる行動に走る事は看過できません。

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